欲求不満の心理状態と、成熟した人格について

本日は二本立て。

■■フラストレーション(欲求不満)の心理■■

緊張状態、不安、攻撃感情、どうにもならない(やるせない)感情状態により、知的働きの低下が生じ、合理的反応や非合理的反応の生起、破局的反応が起こる。
キレる、など。


【ストレス状態に起こりえること】

・攻撃的行動・・・外罰的反応(自分は悪くない、あいつが悪い等、自分以外に責任を求める)、内罰的反応(自分が悪い)、無罰的反応(誰も悪くない、仕方なかった)

固執的行動・・・ステレオタイプ(紋切り型)に持続する反応、柔軟性のない行動。どうでもいいことに固執する。

・退行的行動・・・幼稚で未発達な行動形式を繰り返す。聞き分けのない行動など。大人でも起こる。

防衛機制・・・不安定になった自分を守る反応。合理化(ぶどうは酸っぱい)、抑圧、投射、逃避など。結局のところ根本的な問題解決にはならない。

・他に、意味のない行動を繰り返す、神経質になる、決断力が鈍くなるなど。
ステレオタイプと欲求不満は関連する。


何かの被害に逢った時、精神的に弱っている時、ストレスの多い環境にいる時、などなど、ストレスのたまる要因はそれぞれに違うだろう。
攻撃的な人、紋切り方の人をみかけたら、ひょっとすると他者への攻撃そのものが目的ではなく、本人のストレスや満たされない思いが外に向かって向けられたのかもしれない。
そうすることでしか自分を守れない時期が生じることも、人にはあるし、そういった状況になれば誰にでも起こりうる。


■■成熟した人格の特徴■■
 byオールポート・G.W(アメリカ)

・自己中心的な狭い興味や活動を離れて、自分以外の人や事物、事業、仕事などに打ち込む。それらによって自己を拡大すること。
自己の内部を豊かにするだけでなく、関わる世界と広く深く関与してゆくことができる。またそれを支える目標がある。そういった目標がないと、いつまでも子どもっぽい人格にとどまらざるをえない。

・他人との暖かいつながり
さりげなく誠実に他者を見守る。

・情緒的安定・自己受容
自分の内部から生じてくる種種の情緒(キレる、怒る、恐れる、性的衝動等)を「自分の感情」として受け入れることができる。

・自己客観力、自己洞察力とユーモアがある。メタ認知
「自分の姿」と考えているところが、他の人びとが彼について考えている所と一致する程度によって計られる。(自分の思い込みによる自画像だけではメタ認知とはいえない。)
メタ認知ができない人は、その時の状況や感情に左右されやすくなり、判断を誤ることが増えるとされている。

・自己拡大と自己客観視の二つを統合し、統一的な哲学、人生観を持つ。自己の運びができる。

メタ認知能力」・・・認知を認知する能力。
1、考える材料としての知識があること。
2、その知識をもとにいくつものパターンの推論ができて、その中からいちばん適切な推論を選ぶことができること。
3、知識が十分であるか、感情に流されていないか、知識を適切に応用させているかなどの適切なモニタリングができる。など。


自己の拡大というのは、幅広い人間関係との交流と、深い自他の洞察力と受容ということともいえる。
自分の心の世界をいくら広げても、それが外の世界と交流し得ない限りは、あくまでも自分の内面的世界に留まっているのにすぎないのかもしれない。
自分の殻から出て、他人とかかわり、親しい相手はもちろん、嫌な相手との上手な付き合い方も、学びながら幅広い人間関係を構築してゆくことで、自分自身がさらに深まってゆく事が望ましいかも。
バーチャル世界の交流はあくまでも少ない情報で「都合よく切り取ることができる」世界。現実世界とは分けて考えたほうがいいだろう。

余談ですがオールポートはハーバード大学で研究中、スタンレーミルグラムと一緒だったそうな。