マインド・コントロール再び そのに

全体主義とMCについて、コメント欄でいわたちさんにいただきましたが、
もったいないので記事にアップ。

『マインドコントロールの恐怖』(恒友出版)スティーヴン・ハッサンより。

●破壊的カルトですべての時間を過ごす人々には、全体主義のもとで暮らすのがどんなことかわかるのだが、自分自身にどんなことが起こっているのかは、客観的にわからない。彼らはグループが作りだす空想の世界に暮らしている。


マインド・コントロールは、ある人をひとつの集団環境へ浸すことで達成されるのであり、その人は、その環境でやっていくためには、自分の古い人格を捨てて、そのグループが期待する新しい人格を身につけなければならない。


●以前の自分の人格を思い出せるような現実−−彼の古い自意識を認めるようなもの−−はすべて排除され、それはグループの現実と置き換えられる。はじめはわざと役割演技をやっていても、ついには演技そのものが現実となる(※ミルグラムの実験)


●彼は全体主義的なイデオロギーを身につけ、それが自分のものになってしまうと、それが以前の彼の信念体系にとって変わる。通常、人格の根本的変化と人生行路の劇的中断(変更)が起こる。この課程は、二、三時間で作動することもあるが、それが固まるには、ふつう数日か数週間かかる。」(P99)


●「もっと全体主義的なグループは、自分たちの教義は科学的に証明されていると主張する。その教義は、あらゆる問題と状況についてのあらゆる疑問に答えるものだと主張する。個々のメンバーは、自分で考える必要はない。教義が彼にかわって考えてくれるのだから


全体主義のカルトでは、そのカルトのイデオロギーが『真理そのもの』、現実世界のただひとつの『地図』として、その人に身についてしまう。その教義(カルトのイデオロギー)は、入ってくる情報をフィルターにかける役割をするだけではなく、その情報についてどう考えるべきかも規制する。


●「多くの全体主義的なカルトでは、人々はカルト以外の新聞、テレビ、ラジオには最小限にしか接しない。これは、ひとつには彼らが忙しすぎて自由時間がないためである。
それでも彼らが何かを読むとしたら、それはまずカルトが使った宣伝物か、あるいはメンバーがカルトに集中し続けるのを『助ける』ために検閲された資料である。


●(メンバーは)元メンバーや批判者との接触を避けるようにいわれている
情報をいちばんたくさん提供できるような人々こそ、(メンバーにとって)とりわけ避けなければならない人なのだ。


●破壊的な組織はまた、いろいろな次元の『真理』を持つことで情報をコントロールする。カルトのイデオロギーには『部外者』用の教義と『内部者』用の教義がある。部外者用の資料は、一般市民または新しい信者のために比較的穏便なものである。内部の教義は、その人がより深く入り込むにつれて、徐々に明らかにされていく。


全体主義の次のふたつの特徴である『純粋性の要求』と『告白の儀式』は、よく知られているものである。


●もしだれかが絶対主義的あるいは全体主義的な真理観を持つと、彼にとっては、その光を見ていない人、つまりその真理を受け入れていない人は、ある意味で闇の中にいるのであり、悪と結合しており、汚れており、存在する権利を持たない。
ここには『存在』と『無』という二分法が働いている。
正当な存在は邪魔するものは押しのけられ、あるいは滅ぼさなければならない。存在する権利がない第二の部類に入れられた者は、心理的に内面の死滅または崩壊というすさまじい恐怖を経験する。
しかし逆に受け入れられた場合には、自己をエリートの仲間と感じる大きな満足感がある。


生きる権利を持つ者と持たない者の間に明確な線を引くという全体主義的な衝動は−−さまざまな度合いで起こりはするが−−人間の根本問題を解決する恐ろしい方法となりうる。このような方法は、全体主義あるいはファンダメンタリズム(宗教であれ政治理念であれ、自分たちが根本だと信じる立場を排他的に主張する主義=根本主義)を含めて、すべて、各時代においては二重に危険なものである。」(P377)

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まずはここまで。

「住み分け」という呼び名の線引き、排他主義運動が起こることもあるかと。

【全体主義的セクト】