マインド・コントロールからの救出&JSCPR研修

マインドコントロール

S・ハッサンの新刊を入手。
救済カウンセラーの方はもちろん、被害者家族、脱会者本人、現役信者などなど、宗教問題や被害に関する理解や認識を深めると共に、
これまでのマインド・コントロールに対するいくつかの誤解や、カルト問題へのアプローチも書かれているため、自身が取り組む姿勢などもあらためて考える事が出来ます。

個人的に、先日のJSCPR研修も交えて考えてみると、カルト問題やマインド・コントロールに関する本を読んだり、研修に参加させていただいたり、カルト専門の講師の方々に勉強させていただいているうちに、
ネットのカルト問題を取り上げるサイトに関して、実際のカルト対策の現場とはかけ離れたものがあるということがより感じられるようになっています。
カルト信者やカルト団体を悪とみなし、弾圧する、排除する、倒す、というネットにはみられがちな発想や対策は、実際の専門家による救済・支援現場にはまずみられないものです。
(もちろん個々が過去の活動経験により抱くさまざまな感情までは否定されるものではありません。個々の抱いた認識や感情と宗教被害問題対策とはわけて考えられているということです)

実際の現場では、いかに社会から逸脱した行為を食い止め、とりかえしのつかない被害が起こるのを未然に防ぎ、破壊的活動にハマっている子供達や友人達をいかに救済・支援していくかという視点で考えられており、対策・支援側は、各識者や各専門分野や体験者などによる社会的なネットワークにより、幅広く深い分野までの対応とリスクマネージメントが行われているという、一般社会的な支援活動でいえば当たり前と言えば当たり前の姿勢で行われているということです。

また、JSCPR会報の臨床心理士のご意見も含めて考えるに、支援・救済する側の専門性や、メサイヤコンプレックスや二元論に陥りがちなカルト救済・支援者の姿勢や、支援者に対するケアなども問われるものがありました。
S・ハッサンの本では、インターネットの活用は否定されてはおらず、むしろ元信者、家族による体験や情報が手に入ることで、さまざまな認識を得ることが出来ることの効用にも触れてありました。
ただしこのあたりは情報を取捨選択する側に判断が委ねられることもあり、ネットで容易に意見交換がなされる反面、先にあったような二元論的な問題が懸念されます。というか実際にあります。
メディアリテラシープロパガンダは、現代のヒーラー・スピリチュアル問題にも繋がっていくところだと思います。

というわけで、今回の本も、カルト問題への取り組みを社会心理学を中心に、さまざまな角度へと考えていくことのできる本であり、被害者家族、脱会者へ役立てていかれる本だと思います。

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