講演会

JSCPR研修でいただいてきた資料が、ただいま出張に行っているため、記事がまだ書けないので、先に別の講演を。

某日、池田小学校殺傷事件のご遺族の講演、
続いて某日、ストーカー殺人のご遺族による講演にいってきました。
いずれの殺人事件も、ニュースでみたあの事件でした。

小学校殺傷事件のご遺族による講演会場には、主に防犯組合関係の方や各地域の防犯に取り組む皆さんが、
ストーカー殺人のご遺族による講演会場には、主に警察関係の方、ほかに臨床心理士会会長、県警ストーカー対策室長、
そしていずれも地元の相談支援団体の事務局長や理事の方がいらっしゃいました。

ご遺族により、殺人事件の経緯と真相、血の現場、ご遺族の生活(仕事や学校生活含む)、裁判、精神面、警察やマスコミや周囲の対応、犯人への気持ちなど、直接話をうかがわせていただくことができ、
のこされたご遺族が、やりきれない思いを少しずつ家族で乗りこえる道のりや、心もすぐに変わるものではなく、長い時間をかけ少しずつ回復していくということ(この辺はPTSDによる海馬収縮からの回復に関わるのではないだろうかと考えられます)など
あらためてご本人のさまざまな体験談により教わる事ができました。

また今後各分野において必要であろうテーマ(予防、対策、ケア等)も、両事件ともにうかがってくることができました。
予防や対策やケアに関しては、ちょっと別記事で書こうと思います。

いずれの感想もひと言では述べられないくらいで、ご遺族の心象を考えると、かえって感想も記事にしないで、直接聴講いただいたほうがいいように思うことが多々あります。
なおかつ、殺人とひとことで言っても、ひとつひとつのケースはまったく違うものであるわけで、
それぞれに言葉にしきれない思いがたくさん残りましたが、聴講させていただくことが出来て本当によかったと思います。


少しだけ、涙についての話を。
コロンビア大学ミネソタ大学の研究で、感情とともに流す涙(感情の伴う涙)には、怒りや悲しみの感情の浄化作用、精神の安定作用のある成分が含まれるという研究結果が出たとのこと。
(たまねぎで出る涙にはそういう成分は含まれないとのこと)
遺族にとって、思い切り心から泣くことが、次の心のステップへの大事なワークになっているという話でした。
泣く事、何度も話すことも、停滞ではなくそれ自体がひとつの作業であり、またそういった作業の適切な場の必要性も認識がもてると思います。

人は予期せぬ理不尽な出来事に傷つき、傍からはわからないくらい、自分でも信じられないくらい心にダメージを受けることがあるけれども、
人にはまた、一人一人に自ら回復する能力が備わっているという経験と事実をご提示いただき、人が生まれ持つ能力も再認識させていただいたように思います。